2002年9月ミニ鉱物採集会-塩山地区をたずねて-

2002年9月ミニ鉱物採集会-塩山地区をたずねて-

1.初めに

私のHPを見て、メールで問い合わせがあったり、山梨、長野、茨城などの
産地を案内して差し上げた方々に声を掛け、2002年9月度のミニ採集会を開催した。
今回、運動会シーズンで参加できない子ども達が多いことや私の資格試験が近づいて
試験勉強もせねばならず遠出ができないことなどから、山梨県周辺でのミニ採集会と
させていただいた。
9月28日(土曜日)・・・・小川山
9月29日(日曜日)・・・・平沢・鈴庫・竹森
を計画したが、28日は台風の影響で、急遽中止とし、29日に塩山周辺の産地を
訪れ、2歳の幼児から熟年まで、11名で採集したので1人では出会い得ないような
良品が採集できた。
・平沢では、日本式双晶の分離品と板チタン石
・鈴庫では、自然銅と異極鉱
・竹森では、6cmを超える透明草入り水晶
などなどで、参加者の皆さん大満足でした。
2歳の”たっくん”が水晶を見て「透明!」、「六角!」などと叫ぶのを聞き
”博士2号”誕生を感じました。
(2002年9月採集)

2. 平沢での採集

玉宮小学校裏の駐車場に、2歳の”たっくん”を連れたOさんご夫妻、愛知県のKさん
千葉のYさん親子、東京のTさん親子、埼玉のIさん親子が集合。
初めての人もいるため顔合わせの挨拶の後、産地概況を資料で説明。
早速、平沢に向かう。
ここのお目当ての「氷長石」は、ごく狭い範囲にしか産しないので、ズリを舐める
ようにして皆で探す。
「氷長石」探し
採集した見本を見てもらうと、1cmを超える分離結晶や母岩付きを皆さん次々に
採集する。
氷長石が見つかり、次は愛知県のKさんの目指す「日本式双晶」を求めて
全員ズリを掘り始める。
「日本式双晶」探し
なかなか良品が出てこない。表面採集の”博士”が、平板の水晶を見つけた。
片割れが落ちているはずだから、その付近を捜すようにアドバイスした。
やがて、もう1枚、平板水晶を見つけて、持ってきた。
組み合わせて見ると、縫合線が”ピッタリ”合うではないか!!
水晶が専門のIさん親子とは竹森で落ち合うことにして、残りのメンバは鈴庫鉱山へ向かう。

3. 鈴庫鉱山での採集

ここの目玉は「カニュク石」であるが、10年前には、ズリ一面に”うぐいす石”の
部分があったのに、今では目を皿のようにしてズリを探しても、とんと見当たらない。
鈴庫鉱山ズリでの採集風景
出てくるのは、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱と2次鉱物の孔雀石。そして、長〜いもので
体長50cmくらいのヤマカガシ。Tさん、来れなくて正解でしたネ?
鈴庫鉱山には、しっかりした坑道が残っているが、水が溜まっており、入口で記念写真だけ。
鈴庫鉱山坑道
やがて、またまた”博士”が細長い孔雀石を見つけて、曲げてみると破断面は正しく赤銅色の
自然銅。またしても、お手柄です。
私は、鉄錆のついた母岩に真っ白い”鳥の糞”のようなものが付いている標本を見つけた。
ルーペで確認すると、異極鉱である。
異極鉱は、閃亜鉛鉱がでる鉱山の2次鉱物として普通に出る鉱物と言われているが
山梨県の産地では、初めて採集した。
この鉱床の基盤になっている「花崗閃緑岩」の中に、1cmを超える「角閃石」があった。
異極鉱【白色部分】

4. 竹森水晶山での採集

前もって、山の持ち主の雨宮さんに電話で入山の了解を頂いておいた。しかし、行ってみると
神社手前にフェンスが張り巡らされており、全員ビックリ。
水晶山のフェンス
水晶山に入れないようにしたのではと言う人も居たが、雨宮さんに確認したところ敷設したのは
雨宮さんではないとのこと。
猪などの獣害から作物を護るために取り付けた、と言うのが真相のようです。
水晶山は、相変わらずの賑わいで、先客が10名以上いる。北山側のズリを一列になって掘り
始める。

左:ズリを掘る参加者       右:”たっくん”とOさん一家
2歳の”たっくん”が水晶を見て「透明!」、「六角!」などと叫び、既にして”博士2号”の
片鱗を見せ、末頼もしい限りです。

そのうち、散らばって採集するようになり、やがて愛知県のKさんが良品を採集したとの情報が
流れてきた。見せてもらうと、6cmを超える透明の草入り水晶である。帰って今回不参加の
息子のS君に自慢できると満足そう。(いつも息子のS君の方が良品をゲットする。)
出てきたのは、出そうもない山土混じりの場所だったそうですから、産地は分からない。
秋の陽は釣瓶落しといわれるように、暮れかかってきたので、後ろ髪を引かれる思いで下山した。

5.おわりに

(1)東京都のTさんから、平沢の氷長石(薄茶色に汚れたような色が付いている)を10%の
塩酸に漬けたら、粘土状になってグズグズになってしまった。
しかし、怪我の功名で、その中から1mm位の板チタン石が何個か出てきたとのこと。
また、行きしなに、私がこの中に「鋭錐石」があると言ったグライゼン化した塊を家に帰って
割ったら、ルーペサイズながら鋭錐石がビッシリ付いていたとの嬉しいメールを頂いた。
(2)同じ塊の片割れを持って帰った愛知県のKさんや、水晶を蓚酸で処理したOさんからも
鋭錐石があったとのメールを頂いた。
鋭錐石は、耐酸性の強いチタンの酸化物ですので、蓚酸にやられることはありません。
私も、しっかり片割れを確保してきました。
(どうも、鋭錐石を知らない人が割って、そのまま置いて行ったようです。)
グライゼン化した母岩と鋭錐石
(3)今回初めて参加された人にも、充分楽しんでいただけたようです。
10月の採集会はもっと楽しんでいただけるよう心がけています。
一人でも多くの皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

6.参考文献

1)加藤昭、松原聡共著:鉱物採集の旅-東京周辺をたずねて-,築地書館,1982年
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